土屋 順紀

紋紗着物「流簾」 モンシャキモノ「リュウレン」

  • 染織
  • 2014年発表
  • 販売済

分野 染織
発表年 2014
展覧会 第61回日本伝統工芸展

  • 紋紗

    紋紗とは、平織りと透け感の出る紗(しゃ)織りとで文様を織り出す技法です。 紗は綟り(もじり)織りの一種で、隣り合う交差させた2本の経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を通して、経糸2本を、緯糸1本ごとに左右に交差させて織るため、織り目に透き目ができ薄くて軽くなります。

人間国宝(重要無形文化財保持者) 土屋 順紀 Yoshinori Tsuchiya

写真:土屋 順紀

紋紗(もんしゃ)の織製では、四枚の綜絖(そうこう)と一枚の振綜(ふるえ)を取り付けた足踏み式の織機を使う。その紋紗は、経糸二本を搦めて紗の地を組織し、続けて平織に変えながら、霰模様、石畳模様などを織り出すものである。 制作は紋紗の他、生絹、紬と多彩である。精錬した熟絹と対照的な生絹は、紗に似た古典的な絹織物で『源氏物語』の「空蝉」にも「生絹なる単衣」とある。使用する糸も未精錬の生糸で、シャリ感のある手触りの良さが生かされている。紋紗に併用される絣は、染め分けた絣の足をずらせたものである。 明るく艶やかな彩りを齎す植物染や、経絣による熨斗目模様風の段々暈しの柄を融合させた作品などは、正倉院宝物や公家装束のイメージとは幾分異なる。蜻蛉の羽のように透き通った生糸の美しさをたたえる作品などは、現代の息吹を感じさせながら、紋紗の未来を語る爽やかな仕事と言えよう。